院長からのメッセージ
不健康な生活習慣を改善するために

生活習慣病予防は
“細胞のリハビリ”です

かつては成人病と呼ばれ、現在では糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)や痛風(高尿酸血症)の総称として使われている生活習慣病についてご存じない方はほとんどおられないでしょう。 食生活の欧米化や生活スタイルの変化、それに伴う運動不足や過食、肥満などが原因で、改善するには規則正しい生活習慣を身につけることが大切、進行すると脳卒中や心筋梗塞など重大な疾患に結びつく可能性が高まる――こういった話を繰り返され、うんざりしている方もいらっしゃるかもしれません。 内臓に脂肪が蓄積し、糖尿病・高血圧・脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病を引き起こしやすい状態を指す「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」といわれ、無理なダイエットをした結果リバウンドしてしまった経験をお持ちの方や、周囲に何も言われたくないから、「薬で基準値をクリアしていればとりあえずOKだろう」とお考えの方は少なくないのではないでしょうか。 人間の体は個人差こそあれ、どんな方でも加齢に伴い衰えていくことは避けられません。そのスピードをできるだけ緩やかにして、健康な体を保ち、よりよい人生を過ごすためには、患者さまお一人おひとり必要なことは異なります。 たとえば、一口に食事療法や運動療法といっても、40歳の方と70歳の方では必要となる食事量や運動量は違ってきます。自分の体に適していない方法で努力しても、体調・体質の改善は見込めませんし、場合によっては逆効果になってしまう可能性もあります。生活習慣病を予防するということは、患者さまお一人おひとりの“細胞をリハビリ”していくということです。 当院では「この場合はこれ」といった画一的なあてはめ方をするのではなく、食生活や生活習慣など患者さまの人となりをよくおうかがいし、より適切な食事療法や運動療法などをご提案することで、患者さまに納得のいく人生を過ごしてもらうお手伝いをさせていただければと考えています。 「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うようなことでも、遠慮なくおっしゃってください。一緒に悩んで、患者さまそれぞれにふさわしい解決方法を見つけていきましょう。

年齢や生活環境を踏まえ、
それぞれに適したアドバイスを行います

診療の際に「血圧は朝測るのと夜測るのとどちらがいいですか?」とご質問を受けることがあります。よくインターネットでは朝・夜の決まった時間に2回測って平均を記載してくださいなど書かれています。しかしこれは一般論であり、まずは自分が一般論に当てはまるか調べることが大事です。そのためまずは色々な時間で測ってみてください。自分の血圧がいつ上がっているかも分からずに決まった時間しか測定していなかったら血圧が上昇していることにも気づかずに過ごしてしまいます。何年も毎日朝7時、夜8時に血圧を測定し、平均値を記録していらっしゃった方がいます。せっかく家に血圧計があるのに長年自分の朝7時と夜8時の血圧しかわからないのはもったいないです。まずは自分の血圧がいつ上がっているのかを見つけていくことから始めましょう。そして次の診察の時にそれを見て「次はこの時間を調べてみてください」とアドバイスをしていきます。自分の血圧がいつ高いのかを気づくことが高血圧診断の第一歩だと思います。 糖尿病は血糖コントロール、高血圧は基準値をキープ、適正体重を維持すること。これらは、いずれも生活習慣病改善のためには欠かせないことです。しかし、患者さまお一人おひとりの体の状態は違います。それと同時に生活習慣も違いますから、改善するための体の鍛え方も当然異なります。どこか一か所だけを鍛えればいいというものではありませんし、筋肉を鍛えることには関心があっても骨を鍛えることはついつい見過ごしがちになります。 生活習慣病というものは、さまざまな病気の総称であると同時に、関連して合併症リスクのあるとてもやっかいな病気です。当院では患者さまお一人おひとりに本当に必要な情報や改善方法のご提案に努め、二人三脚でともに歩む地域医療を進めています。ご本人さまだけでなく、ご家族の方もわからないことやお悩み事がございましたら、何なりとご相談ください。

生活習慣病の代表的な疾患

高血圧

高血圧

高血圧は、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の状態をいいますが、自己判断に走らず、必ず医師に診断してもらった上で必要な治療を行いましょう。 血圧が高い状態が続くと、血管にも長期の負担がかかり、動脈硬化につながります。自覚症状は特になくても、高血圧は心筋梗塞や脳卒中を起こす原因となるので注意が必要です。

脂質異常症
(高コレステロール、
中性脂肪)

脂質異常症

善玉コレステロールが少なすぎる場合、逆に悪玉コレステロールや中性脂肪が増えすぎた場合に、脂質異常症と診断されます。 脂質異常症になると、動脈の血管の血流が悪くなります。ひどくなると血管が詰まったり破裂したりし、心筋梗塞や脳卒中、大動脈解離などの動脈硬化性疾患のリスクが高くなります。

糖尿病

糖尿病

血液中のブドウ糖をコントロールするインスリンがうまく働かず、血液中の糖分が異常に高くなるのが糖尿病です。 糖尿病には、血液透析が必要になる「糖尿病腎症」、失明することもある「糖尿病網膜症」、手足がしびれる「糖尿病神経障害」など、生活に大きな支障をきたす怖い合併症があります。

高尿酸血症(痛風)

痛風

血清尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症の状態が長く続くと、急性関節炎、俗に“痛風”と呼ばれる症状を引き起こします。 痛風はとても痛くそれ故に「高尿酸血症=痛風」とだけ考えがちですが、実は高尿酸血症は糖尿病と同じぐらい腎臓に悪影響を及ぼしがちな病気です。したがって、薬で基準値を保っているからといって油断できるものではありません。 また、血清尿酸値が高くなると、動脈硬化疾患などの発症にも関わるメタボリックシンドロームにもなりがちです。

骨粗鬆症

骨粗相症

骨を強くするためには何を食べたらいいですか?どんな薬を飲めばいいですか?などの質問も多いです。もちろん様々な薬があり、アドバイスを行いますが一番大事なことは「骨トレ=骨を鍛えること」です。筋トレは筋肉のトレーニングですが、骨トレは別です。どんなに自転車をこいでも、水泳をしても、骨に衝撃がなければ骨は強くなりません。またどんなに良い薬を飲んでも骨が強くなりたいと思わなければ強くなりません。 骨に衝撃が加わり、軽いダメージがあってはじめて骨は強くなろうとします。もちろん強すぎれば怪我をしてしまいます。当院ではつま先立ちをして、ストンとかかとから落ちるつま先立ち運動を1日10回、朝昼夜行うことをおすすめしていますが、これも人によって強すぎる場合があります。 診察の際に一つずつアドバイスを行っていますのでどんどん質問してください。